インフレが進み、我々の資産が減っている
「貯金があるから大丈夫」と本当に言えるのでしょうか?
2025年10月度の消費者物価指数(CPI)は総合指数3.0%の上昇となりました。
よってこの数字の裏側で、私たちの生活を支える資産は静かに、しかし確実に目減りしていると言えます。
日本は、食料自給率38%、エネルギー自給率12%台という「二重の脆弱性」を抱えています。
この構造こそが、インフレの波を日本で増幅させる最大の原因です。
特に、私たちの食卓を直撃する食費は7.2%上昇(生鮮食品を除く食料)し、われわれ生活レベルはすでに静かに低下を始めているという現実を直視しなければなりません。
本記事は、この構造的なインフレの時代に、たとえ資産1億円を築いたとしても、無策であれば何年でその価値が半減してしまうのかをシミュレーションし、それに打ち勝つための具体的な「インフレ防衛投資戦略」を解説します。
衝撃のファクト。資産はインフレという見えない税金で減る
インフレとは、物価が上がり、お金の価値が下がることを意味します。
年間のインフレ率が3.0%ということは、「今1万円で買えたものが、1年後には1万30円出さなければ買えなくなる」ということですね。
私たちが汗水流して稼いだ貯蓄は、実質的な価値を静かに失い続けています。
ここでのポイントは食料品のインフレ上昇率です。

私もよくスーパーに食料品を買いに行きますが、、、、『いやさすがに高すぎでしょ・・』と思うような商品も多数ありますよね。
毎週、いや毎日値上がりしてるんじゃない??と思えるほどに、食料品の値段があがっているような印象を受けます。
一番値が上がったのは言うまでもなく、「米」ですが、個人的に一番あがったな~~と感じるものは「タコ」です。(タコ焼きが好きで家でよく作っていたので・・・)
実際の数値としては、今年1年間ではあわせて2万609品目が値上げされる見通しで、去年の1万2520品目のおよそ1.6倍となるそうです。

出所:テレ朝NEWS
【定量シミュレーション】あなたの資産はあと何年持つか?
では、いよいよ、今後インフレが続くとした場合、どのくらい自分が持っている資産にインパクトするのか、計算してみたいと思います。
資産が一定のインフレ率(減少率)で半減するのにかかる年数を計算する際に、あの有名な「72の法則」を使います。
※ 「72の法則」は、お金が2倍になる期間が簡単にわかる便利な算式です。
「72÷金利(%)≒お金が2倍になる期間」
この法則を、2025年10月度のCPIデータに当てはめてみましょう。
| インフレ率(年率) | 資産価値が半減する年数 | 衝撃の示唆 |
| 総合指数 3.0% | 24年 | 夢のFIRE計画は24年で破綻危機 |
| 食料品指数 7.2% | 10年 | 10年で購買力は半減 |
FIREを目指して懸命に資産を積み上げても、このインフレ率が続けば、24年後には実質的な購買力が5,000万円分にまで減ってしまうという冷酷な現実を、私たちは直視しなければなりません。
なぜ日本はインフレが続くのか? CPIの裏に隠された「二重の脆弱性」
なぜ、日本のインフレはここまで家計に厳しく、持続性が高いのでしょうか。
それは、日本の構造的な弱点が、インフレの波を増幅させているからです。
食料自給率38%の宿命
日本は加工食品の原材料となる穀物や飼料の多くを輸入に頼っています。食料自給率が極めて低い(G7最低水準)ため、国際的な原材料高と円安の影響をダイレクトかつ大きく受けてしまいます。食料品の上昇率7.2%は、この構造的な脆弱性の現れです。
エネルギー自給率12%台の連鎖
エネルギー自給率もOECD加盟国の中で最低レベルです。原油や天然ガス価格が上がると、発電コスト、工場の製造コスト、そして商品を運ぶ物流コスト(ガソリン・軽油)がすべて連鎖的に上昇し、最終的な物価を押し上げます。
政策効果の「時限爆弾」
総合指数3.0%という数字には、政府による電気・ガス料金負担軽減支援事業の押し下げ効果(試算値-0.26)や、高等学校授業料の無償化による巨大なマイナス寄与(-0.18)が含まれています。これらの一時的な政策効果が剥落した時、インフレ率が一段と加速する「リバウンドリスク」が潜んでいます。
政策に頼っていては、資産は守れません。
今まさに、自助努力で資産を守る必要性が増しているのです。
インフレに打ち勝つ「資産防衛投資戦略」
インフレが構造的な問題である以上、私たちが行うべきは、インフレの波に乗るための投資戦略です。
資産が溶けるのを静かに見ているのではなく、円安と世界の成長を味方につけるための具体的な戦略を講じましょう。
もうおわかりだと思いますが、われわれビジネスマンにとって最重要の戦略は「株投資」であります。
【投資戦略 】日本円リスクからの脱却『グローバル分散投資』
ポイントとして、インフレを防衛するための最も確実な方法は、日本円という単一通貨・単一経済圏に資産を集中させないことです。
①全世界株式(オルカンなど): 日本国内の構造的なインフレリスクを薄めるには、世界中の企業の成長を取り込むことが不可欠です。市場の成長率とインフレ率が連動することで、実質的な購買力を維持しやすくなります。
②S&P500(米国株): 世界のイノベーションと収益力を享受しましょう。ドル建て資産を持つことは、円安そのものを資産防衛の盾に変えることを意味します。円安が進むほど、ドル建て資産の円換算価値は増大します。
つぎに、必要な戦略として、これもわれわれビジネスマンにとって、ますますその重要度が上がってきたといえるであろう「副業」です。
【投資戦略 2】収益源の複線化(副業との連動)
投資の重要性は言うまでもありませんが、インフレに打ち勝つ最も強力な武器は、インフレに負けない労働所得を確保することです。
スキルを売る副業: 労働単価は、インフレが進むと高まりやすい傾向にあります。自身の専門的なスキルや時間を売る副業は、企業が人件費を上げざるを得ないインフレ環境下で、単価交渉がしやすく、強力なインフレヘッジになり得ます。
労働所得の増加 = 投資元本の増加: 副業で得た収入を、前述のグローバル分散投資に回すことで、資産の目減りを防ぐだけでなく、積極的に資産を増やしていく二段構えの防衛網を構築できます。
結論 『静かなる決意。行動だけが未来を変える』
38%という日』本の自給率構造は、私たちが変えることはできません。しかし、あなたの資産防衛戦略は、今この瞬間から変えられます。
資産が半減するのを指を加えて見ているのか、それとも今日から行動を起こし、インフレを成長のチャンスに変えるのか? 決断は私たち次第なのです。

つづく


