まとめ
・給与所得者の平均給与は478万円(過去最高)に達し、前年比で約3.9%ほどの伸び(2024年度)
・1世帯当たり1ヶ月平均の消費支出は300,243円。前年比で1.1%の減少(2024年度)
・これからは会社の選別と、資産の再配置が重要
では、具体的にどういったことなのかを見ていきたいと思います。よろしくお願いします。
絶望的な「実質賃金マイナス」の現実
昨今のニュースで、「賃上げ率〇〇%!」という見出しが踊ります。
2024年、2025年の春闘では、歴史的な高水準となる5%前後の賃上げが実現したとの報道もあり、企業も政府も、長年の停滞を脱し「賃金と物価の好循環」が始まったと大いに期待しています。

会社からベースアップします!って言われたときは、「うおぉ!」と叫んじゃいました(汗)ちなみに私の会社のベースアップは5.0%でした。
でも、冷静な数字は、私たちの心にとてつもない不安を投げかけます。
「あなたの給料は上がっている。だが、それ以上に物価が上がっている。」
実際のところはどうなんでしょうか。ちょっと事実がどうなっているのか、見てみたいと思います。
ファクト①
国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」速報によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円(過去最高)に達し、前年比で約3.9%ほどの伸びを見せました。これは、平成3年以来、約30年ぶりの高い伸び率とのこと。
ファクト②
一方で、総務省の「2024年(令和6年)平均 家計調査」によれば、二人以上の世帯の1世帯当たり1ヶ月平均の消費支出は300,243円でした。この金額は名目では増加していますが、物価変動(インフレ)の影響を除いた実質では、前年比で1.1%の減少となり、2年連続の実質減少ででした。
給与(ファクト①)は伸びているにもかかわらず、消費(ファクト②)は実質的に減っている。このデータの乖離が示すのは、私たちが静かに、しかし確実に豊かさを奪われ続けている現実なのではないでしょうか。
そして今、日本銀行が長年のゼロ金利政策を解除し、「金利のある世界」への一歩を踏み出しました。
多くの人が真っ先に気にするのは、住宅ローン金利の上昇でしょう。
しかし、私たちが本当に心配し、そして熱い意志で備えるべきは、この金利の変化が「自分の給料の行方」をどう決めるのかという、より根源的な問いだと思います。
金利上昇は、私たちの家計を直撃するだけでなく、企業の経営体質を根底から揺さぶる「静かなる審判」です。この審判を理解し、備える者だけが、次の時代に給与を上げ続けることができるのではないでしょうか。
【短期ショック】金利上昇が給与を「下げる」メカニズム
ここでちょっと思ったのですが、そもそも金利が上がることによって給料が上がったり下がったりする、理論的なメカニズムってなんなのでしょうか。
気になったのでちょっと調べてみました。
金利が上がると、まず経済に働くのは「冷やす力」、すなわち給与を抑制する方向への圧力です。
このメカニズムは、主に「企業収益の抑制」という形で現れます。
企業の「利息負担」という熱い現実
金利が上昇するとは、企業が銀行からお金を借りる際のコスト、すなわち利息の支払いがダイレクトに増えることを意味します。
想像してみてください。これまでゼロ金利で事実上タダ同然で借りられていた資金調達のコストが、仮に1%や2%に上がったとします。特に、創業や設備投資で多額の有利子負債を抱える企業(例:不動産業、建設業、一部の製造業)にとって、これはただのコスト増ではありませんよね。
ある試算では、長期金利が1%上昇すると、有利子負債の多い非製造業の一部では、経常利益が数パーセント単位で減少するとの見方もあり様子。この増加した利払い費用は、どこから捻出されるでしょうか。
- ボーナス・昇給原資の削減: 利益が減れば、最も調整しやすい人件費、特にボーナスやベースアップの原資が真っ先に削減されます。
- 設備投資の凍結: 金利が高くなれば、将来の生産性向上や成長のための新規投資の採算ラインが厳しくなり、計画が棚上げされます。これは、未来の企業の成長を自ら止める行為であり、長期的には賃上げの芽を摘むことになります。
金利上昇のショックが短期的に強く働く時期には、財務体質の弱い企業や、価格転嫁力のない内需型産業を中心に、賃金抑制やリストラの圧力が静かに、そして急に我々の足元にまで迫ってくるのです。

業績が下がって給料が下がりますって、会社に言われたら・・・そんな恐ろしいこと想像したくもないですよね・・・・
【長期の好機】金利上昇が給与を「上げる」メカニズム
短期的な痛みを伴う一方で、金利上昇は日本経済が長年失っていた、給与を構造的に上げ続けるための「熱い力」を呼び覚まします。これが「労働市場と生産性の向上」を通じたメカニズムです。
人手不足の圧力は金利に勝る「熱い力」
日本の経済構造において、賃金決定に今最も強く作用しているのは、金利コスト増(メカニズム1)よりも、むしろ構造的な人手不足(メカニズム2)です。
企業は金利上昇で苦しんでも、優秀な人材を失えば事業を継続できません。日本銀行の「短観」などを見ても、雇用人員判断DI(不足感)は依然として高止まりしており、企業は賃金を上げてでも、人材を確保せざるを得ない状況にあります。
この「労働力の希少性」こそが、賃上げの継続を静かに保証する、最も強力なエンジンです。
経済の「静かなる選別」と給与の未来
真に重要なのは、金利上昇が引き起こす「企業の選別(淘汰)」です。
金利上昇に耐えられず、生産性が低い企業は市場から静かに退場していきます。一方で、この試練を乗り越えられるのは、高い付加価値を生み出し、利益率が高い、すなわち高い賃金を支払える体力がある企業です。
- 労働力の移動: 淘汰された企業から解放された労働力は、自然とより生産性の高い、賃金の良い企業へと移動します。
- 生産性の向上: 経済全体で、生産性の低い企業が減り、高い企業が拡大することで、社会全体の生産性が向上し、構造的に賃金水準が底上げされます。
これこそが、金利上昇がもたらす最も健全で、長期的な給与上昇のメカニズムです。
実質賃金の夜明け
そして、金利上昇の最終目的である「過度なインフレの鎮静化」が達成されれば、私たちの生活は静かに回復に向かいます。
例えば、名目賃金の上昇率が4%で安定し、金利政策によって物価上昇率が日銀の目標である2%程度に落ち着いたとします。この時、実質賃金はプラス2%となり、長年マイナスだった私たちの購買力が、ついに回復に転じます。
金利上昇は、短期的にローン金利を上げる「痛い薬」かもしれませんが、長期的に私たちの実質的な豊かさを回復させるための「静かなる治療」なのかもしれませんね。
【最後に】金利の波を乗りこなす「私たちの備え」
金利上昇は、私たちに「どちら側の企業にいるのか」という、冷静で熱い問いを突きつけます。
この「静かなる選別」の時代を乗りこなし、給与を上げ続けるために、私たちは何をすべきでしょうか。
人的資本の「船」を見極める(働き方・副業)
私たちの給料を左右するのは、景気や政策ではなく、私たちが身を置く企業の生産性と成長性です。
- 高金利に強い業界へ: 有利子負債が少なく、高い技術力で高付加価値を生み出せる製造業、あるいは参入障壁が高く、価格転嫁力のあるサービス業など、高収益体質の企業を見極める。
- 代替の効かないスキルへ: 金利が上がっても、企業が手放せないのは、AIや高度な専門技術といった「代替の効かない人的資本」です。自分のスキルを「コスト」ではなく「未来への投資」と見なされるよう、静かに、しかし熱い意志を持って磨き続ける必要があります。また、副業を通じて市場価値を直接確かめ、収入源を分散することも、この時代のリスクヘッジとなります。
金利に負けない資産の再配置(投資・FIRE)
私たちの資産もまた、金利上昇という名の審判にさらされます。
- 高収益企業への集中投資: 金利上昇の試練を乗り越え、市場で「選別」された、高収益で安定した成長が見込める企業(国内外問わず)に、静かに、しかし継続的に資金を投じる。
- 金利に連動する資産の再評価: 長年無視されてきた定期預金や一部の債券など、「金利が上がるほどリターンが増える資産」への目配りも重要です。この再配置こそが、インフレに負けず、FIREを現実的な目標にするための土台となります。
静かに、しかし熱い意志を持って
金利のある世界は、決して「怖い時代」ではありません。それは、30年近く続いた停滞の甘えを断ち切り、経済を健全な成長と賃上げの軌道に戻すための「静かなる試練」であり、「熱いチャンス」です。
この構造変化を冷静に理解し、自分の人的資本と金融資本を、未来を担う「選ばれた場所」へと静かに、そして熱い意志を持って再配置すること。それこそが、私たちが豊かな未来を掴むための、唯一の道筋となるでしょう。
私もみなさんも、今現在、金利の波に乗る側ですか?それとも、押し流される側でしょうか?
この問いに向き合うことから、私たちのマネーライフの次のステージが始まります。
つづく


